第1章

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(左側の会話) 長い糸を震わせもがく誰かさん誰かさんが捕 まった 少し話をしようか まだお腹は空いていないから 綺麗な花しか見てこなかった?蝶。 そんな優しい眼をしていたって 世界は悪で出来ている 目の前の惨状はビデオを撮ったように 繊細に映っていたのに 当の本人の僕がレポーターのように語ってい た 涙を流しながら 世界の歪みを眺めながら 「つまり喰われたら負け。」 何から信じればよいのだろう 死と隣り合わせの毎日に 誰も気付かずに自我を振りまくる 顕示欲と虚栄心を持ち 自らの偽善を奮わせ 誰かに依存して 欲求を確かにする 欲求を確かにする 欲求を欲求を欲求を 汚いゴミしか見てこなかった?蜘蛛。 そんな悲しい眼をしていたって 世界は光じゃ出来てない 目の前の惨状は夢をえぐったように 全てを奪ったのに 当の本人の僕がレポーターのように語ってい た 血を流しながら 世界の誤りを眺めながら 「つまり信じたら負け。」 お喋りが過ぎたようだね 少々腹も減ってきたし 長い糸を震わせもがく誰かさん誰かさんが捕 まった 誰が捕まった?? 「ねぇ 君は世界の何を見てきたの? 醜いものしか知らないよ こんなに黒くなった身体に 深い青やら 薄い黄やら 縁取る緑が入ったら 少しは変わるかな??」 なおも微笑む蝶は 全てを許すように出来ていて 全てを憎むような僕に 空の美しさを染み込ませる しかし僕は飛ぶことなど出来ないし 地にはいつくばったままだし また時間が経てば腹を空かせる 狂っているのだ 世界も僕も君も 長い糸を震わせもがく誰かさん誰かさんが捕 まった 少し話をしようか まだお腹は空いていないから
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