『君にラブレターを』

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まだ着替えの途中、Yシャツのボタンを留めながらそう考える。 「ただ…ラブレターなんて貰ったことも書いたこともないので、いったいどういうふうに書けばいいのかわからないんです」 「へぇ、貰ったことがないなんて驚きだな。テツヤは密かに人気あるのに」 「赤司君…」 クスクスと嫌味にならない程度に笑い声を漏らしながら、赤司君は言った。 あぁ…絶対に僕のことをからかっているんだ。 「僕は影ですよ?…見付かる訳ないです」 事実をはっきりと伝える。 きっと、からかっているだけだろうけれど。 そう伝えても、まだ笑っているのはどうしてだろうか? 「…こんな時ばかりは、赤司君が羨ましいです」 「どういう意味だ?」 意味がわかりませんか…。 そのままの意味ですよ。 「だって、いっぱい貰ってるでしょう?…経験豊富そうです」 眉目秀麗。 品行方正。 成績優秀。 むしろこれで、貰わない方がおかしいだろう。 「おい待て。俺が遊び人みたいな言い方はやめてくれないか」 そんな言い方はしてないと思いますが…。 まぁ確かにさっきの言い方じゃ、むしろいつも騒々しいあの彼の方が合っているような言い方だったかもしれない。 彼については…間違ってない認識だと、僕は思っていますが。 だが、今彼はモデルの仕事があって部活に来てない上に、この場には直接関係ない。 そう考えるのを、止めようとすると赤司君が語りかけてきた。 「………手紙を貰うのは、否定しないけどね」 しないんですね…。 「だが…」 「だが?」 赤司君の顔が自嘲気味に歪んだ気がした。
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