第1章

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「よくない!真が留年なんてことになったら私が恥ずかしいでしょ。それに翔君の邪魔」 ぶーぶーと文句を言っているが帰る用意をしている。どうやら真はいつまでたっても杏の言いなりのようだ。 帰ったのを見送ると杏は真が座っていた席に腰を下ろす。 「真の留年の話って本当?」 そう聞くと明らかにがっかりしたような顔をする。 「本当・・・せっかく国際校入っても留年したんじゃすごさもないよね。よく受かったよね真」 「俺らの時は人数足りてなかったらしいし、学力レベルが低い奴でも取ったって話だからな」 「まぁ特進推薦組の翔君とは全然違うけどね」 杏はにこにこしながら自分の勉強準備を始める。 「そっちだって特進だろ」 「私は特進のおこぼれ枠もらっただけだから学力だけでいくと特進の一番下」 そう言いながらも杏は楽しそうに問題を解いていく。俺はこの瞬間が一番落ち着く。二人で勉強をしてわからないところは教えあう。 どんな時よりもこの時間に充実感を感じていた。 ?真 Side?1 俺は木村真。 国際神宮高等学校。 国一つに一校国際学校が設けられる。国際学校の生徒は将来を約束され卒業生は政治家や科学者、医者、弁護士などになり優秀な功績を上げている。 その国際校に受かっただけですごいのに・・・ 「留年か・・・レベル高すぎてついてけねぇ?!!」 大声で叫ぶと周りの人から冷たい視線が送られるが基本的に小さいことは気にしない。 そもそも杏は完璧に俺を利用している。 中学の時の時から翔と俺ら3人はよくつるんでいた。 その時から俺は翔の親友でその関係で杏も真とは仲良かった。 真が神宮高校行くと言った時はさすがにびっくりしたけど真だったらいけると思った。 その時ぐらいから俺も心の中に一緒の高校行きたいいう気持ちはあった。 先生からももしかしたら受かるかもしれないとは言われていた。 俺は自分で言うのもなんだがクラスのムードメーカー的存在だった。 でもその時翔に言われた。「おまえってあんまり遊んでても楽しそうにしてないよな」 なにげない一言だった。翔も特に深い意味があった言ったわけじゃないだろう。なのにその一言はいつまでも俺の心の中に残っていた。一番の友達は誰と聞かれたら俺は誰を言うんだろうか? 自分に問いかけた。一人の名前も出てこなかった。 それ以来翔とつるむようになった。一番俺自身を見ててくれてる気がしたからだ。
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