百合子

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百合は「はい」と返事をして受け入れてくれた。 その後、公園のベンチに座り、これからの話をした。 夏の夜風が気持ちよく、プロポーズがうまくいったせいもあり、いろんな話をした。 その中で、幼なじみの百合子ちゃんの話をした。 この公園でケンカをして、走って家に帰る途中で車にひかれて死んでしまったこと、その名前は百合子だったことを話した。 その当時は落ち込んだが今は、ひきずってないこともきちんと話した。 百合子ちゃんの話をしたとき百合は、「そうなんだね」と何か考えている様子で空を見つめていた。 暗い話をしてしまったので、新婚旅行はどこに行くか話題を変えると百合の顔に笑みが戻った。 明日は二人とも仕事が休みだったので少し飲んでいこうという話になった。 居酒屋への道は僕の家の方面だった。 公園を出て少し歩いた道で嫌な思い出が蘇った。 百合子ちゃんがここで死んだことを思い出してしまった。 車にひかれて血だらけになって僕を見ていたんだ。 僕は首を振り、嫌なこと飲んで忘れようと思った。 今、横には愛する百合がいるんだ。 車のライトが見えたので早くその道路を渡ろうとした。 「早くいこう」と百合の手をとると生温いどろっとした感触があった。
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