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だけどすぐ龍に気付き駆け寄ってくる。
「龍さん!?どうしてこんなにケガしてるの!?」
「龍!!龍!!!」
みんなが声をかけても龍はピクリともしなかった。
「光!」
「わかってる」
その瞬間俺たちは地下帝国へ戻っていた。光の能力で帝家の中に移動する。
「マスターに連絡入れてくる」
「俺は護衛軍とこ連絡してくる。翔と岬は龍つれて部屋に行け」
救護室に龍を寝かせるとすぐに和と要が来た。
「りゅ、龍さん・・・」
和は龍を見て呆然としたがすぐに治療に取り掛かった。和は治療しながら涙をこらえている。和なら治せるだろうと思っていたが龍の状態は悪く出血なんてすぐ止まってしまった俺のケガとは違い龍の出血は止まるどころかどんどん流れている。
「龍さん!!」
一足先に光によって治療を受けていたメイが部屋の中に飛び込んでくる。メイの傷はもう完治しているようだ。龍を見て呆然としている。
「す、すいませんが誰か僕の隊の人たち呼んできてください!!」
和の切羽詰まった声。その声に反応したのはメイだ。メイはすぐに部屋を飛び出した。部屋の中に緊迫した空気が流れる。龍がうめき声をだしていたら少しは安心できたのかもしれない。龍が辛そうな顔をしていたら少しは安心できたのかもしれない。でも、龍にはそれがなかった。ただ小さく息をしいつもの笑顔など想像できないような無表情だった。
メイが呼んできたであろう人が数人部屋の中に入る。俺はただ呆然とその光景を見ていた。
「岬、メイ、要、翔。大広間に」
光が静かに言う。俺たちは何も言わず部屋を出た。
大広間でみんなが席に着く。
「マスターは?」
「来ない。話は後で私が伝える。翔、何があったのか話して」
みんなの目線が俺に集中する。俺は龍の元へ行ってからのことをすべて伝えた。
「じゃあ龍さんは裕也を倒したってこと!?」
「死んだかどうかはわからないけど・・・」
みんな裕也のことになると顔が曇る。なにかあったんだろうか。聞きたかったけど聞けなかった。
一通りの話を終えると部屋がノックされた。入ってきたのは和だ。
「龍は!?龍は大丈夫なの!?」
あの戦いの中でも冷静だった岬が取り乱して聞く。
「一応治療は終わりました。ですがまだ危険です。このまま治療を続けます。・・・・・目を覚ますかどうかは、わかりません・・・」
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