第1章

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強がってる。いつもの和だ。 それにしても僕生きてたんだ・・・裕也は死んだだろうか。少なくともみんなに手は汚させてない。それだけで僕は十分だった。手を汚すのは手が汚れてるやつでいいんだ。 「みんなの所・・・行ってもいいかな?」 「ダメです!!!」 即答された。 「第一歩くこともできないでしょう」 それはもちろんできないけどね・・・方法はいくらでもあるんだよ。 「歩けたら、行ってもいいんだ・・・‘動いて・・・‘」 体が少し軽くなる。痛みも和らぐ。起き上がりベットから降りると和は変なものでも見ているかのような目で僕のことを見た。 「そんな目で見ないでよ」 「ど、どうしてその傷でうごけるんですか!!」 和はすかさず肩を貸してくれる。貸してくれるのはいいけど、僕と和じゃ身長差があってあまり楽にはならないけど・・・ ゆっくりではあるけど1歩ずつ大広間へと足を進める。 大広間に近づくたびに聞きなれた声が聞こえる。 「「俺はその恩を返さないままのうのうと暮らすほどできた人間じゃないからね」」 少年君らしい。でも、それはただのきっかけで僕があの時何もしていなくてもきっと少年君はここに残ると思うんだけど。 「やっぱり気にしてたんだ」 歩いている痛みと声を出してる痛みで顔が引きつる。ちゃんと笑えてるかな? 「龍・・・」 「龍さん!」 みんなが僕見て涙目だ。こんなみんなの顔見られるとは思わなかったよ。 「少年君のことだから気にしてると思ってたよ。でも、少年君が来てくれたおかげで裕也にスキができた時もあったんだよ?」 これは本当だ。裕也は少年君に気を取られた時があったからね。 「りゅ、龍!傷の具合は大丈夫!?」 「大丈夫、大丈夫?」 そう言って手のひらをひらひらとさせる。大丈夫じゃないなんて言えるわけないよ。ただでさえこんな恰好してるのにそれで大丈夫じゃないなんて恰好悪すぎでしょ。 「大丈夫じゃありませんよ!!」 和が隣から叫ぶ。 「こうやって回復したのも奇跡です。でもまだ治療中でいつまた倒れるかもわからないんです!普通に歩くのは10分が限界です」 実際10分も持たない。今にも倒れそうなのを必死にこらえてる。 「じゃあ椅子に座ってたほうがいいんじゃないか?」 少年君らしいや。僕は否定の意味を込め笑う。和を押しのけ一人でマスターの前まで行く。マスターの前にたどり着くとひざまずいた。
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