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そして大きな通路に出た。そこには悲惨としか言えないほどの数の警備隊か倒れていた。中には死んでいたものもいたかもしれない。ふと隣にいる龍の顔を見る。笑っていた。ただ楽しそうに笑っていたんだ。
ついに戦っている場所についた。目の前の敵に気を取られ俺たちが後ろにいるのに警備隊は気付いていない。
「後ろががら空きだよ」
龍が一人の警備員の耳元でつぶやく。警備員が振り向くよりも先に龍が足で思い切り地面を蹴る。警備隊全員に電気が足元から流される。警備員が次々と倒れた。
「全く。あなたが出てくると私たちの苦労が水の泡よ」
「ごめんって。でも仕事が早く終わるんだからその分にはいいでしょ?」
龍はそういって‘E‘がいるであろう金で装飾されたひときわ大きい扉を開けた。
だが‘E‘はそこにはいなかった。俺たちは部屋に入る。
「誰もいないよ?」
「どうする」
「俺はここを全壊にしておけば心配ないと思うけど?」
みんなが龍に意見を求める。龍は結論を述べようと口を開いた。その時!
「きゃぁぁぁぁー!!!」
龍が気付き振り向くのとメイが何かの力によって飛ばされたのは同時だった。
「おまえっ!!」
全員の空気が変わる。
「全く。みんなそろって顔隠しちゃって。ごていねーに!なぁ卓也?」
黒い長髪を一つにまとめ穏やかに目を細めている少年がドアのそばに立っている。
「どうせ‘裕也‘の仲間だろ」
そいつが部屋に足を踏み入れた瞬間。どす黒いなにかが俺の体をからめとるようにまとわりつく感覚。片目を眼帯でふさいでいるがもう一つの目で俺を見る。それだけで一歩も動けなかった。息をすることも忘れるほどに緊迫した空気が流れる。
「卓也・・・!!」
龍が叫ぶ。
「お、久しぶりじゃねえか。今更裕也のかたき討ちか?俺だってこの目のこと、忘れたわけじゃねえぜ」
「黙れ!!」
龍が電気を放つ。相手は電気の力により吹っ飛ばされ壁にぶつかる。
「イタイイタイ・・・前とは全然違う、か。そりゃそうか」
そう言った瞬間卓也は一瞬で龍に詰め寄り首を絞める。龍は卓也の腕をつかみ電気を流した。卓也は怯みつかんでいた首を離し龍と距離をとった。
「げほっ!・・・あれ?どうしたのその腕」
卓也の右腕は龍の電気により黒く焦げている。にもかかわらず卓也は平然そうにしている。
「片手ないくらいがちょうどいいハンデだろっ!」
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