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俺は龍を探す。いつの間にか部屋にはいなくなっていた。耳を澄ますと遠くのほうで音がする。ということはまだ戦っている。
「行ってきて!」
光が叫ぶ。
「今の状態だったら何をするかわからない。一旦引く。二人は私が連れていく」
それを聞いた瞬間俺は駆け出していた。何をするかわからない?なんだそれ。あの卓也ってやつは確実に健より強い。そんなやつを相手にして・・・!!龍なら大丈夫だとは思うけど不安はぬぐえなかった。
音のするほうへ行った俺がたどり着いた所は地獄だった。龍を追ってきたであろう警備隊は一人残らず血を流し倒れている。生きているのかも死んでいるのかもわからない。一人一人の傷口を見ると死んだほうが楽かもしれないと思う程の者もいた。
「アハハハハハハ!!久しぶりだなこんなに戦いが楽しいのはッ!」
卓也の声がする。その声のほうを見るといきなり龍が壁に叩きつけられた。俺はとっさに龍の傍に行く。
「‘来るな!!‘」
龍が叫んだ瞬間俺の体は動かなくなった。だが俺が行こうと思っていた場所は一瞬にして壁ごと八つ裂きのようにバラバラになっていた。震えが止まらない。もしあのままあそこに行っていたら俺は死んでいた。
瓦礫の中から龍が飛び出すのが見えた。体はボロボロだ。あちこちから血を流し動いているのも不思議な程の傷だった。卓也のケガの具合も龍と同じだった。二人ともなぜそこまでして戦っているのかわからなかった。
「なんか邪魔なのがいるな」
俺の後ろから声がした。龍の声が遠くで聞こえる。卓也は俺の体に触ってもいないのに俺の体は吹き飛んだ。壁に叩きつけられた。体のあちこちが折れているのが分かる。
「邪魔すんなよ!俺は今最高に楽しいんだ!なぁ龍!?」
「そうだね。本当に早く君を殺したくて体がうずうずしてるよ」
龍は今まで聞いたこともない低い声と笑顔で言った。龍は笑顔を絶やさないけどあの笑顔は普通の笑顔じゃなくてとても怖かった。
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