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龍さんがあんなに笑うようになったのはあの事件の時からだろう。‘彼‘のような笑顔。龍さん私たちに何か隠してることは明らかなのに。
マスターは知ってるのだろうか。
私・・・龍さんのこと、何も知らない
end
ドォォォォォォォォォン
光の声をさえぎって爆発音が響く。同時に地面が大きく揺れた。
光の顔つきが変わる。
「光!」
「これは・・・外!」
光はそう言い消えてしまった。すぐに地面の揺れは収まった。
「お兄ちゃん、さっきの何!?」
今にも泣きそうな声で愛が俺にすがりつく。
俺にもわからないことを聞かれてもこちらが知りたいくらいだ。
俺は首を横に振った。
「大丈夫、心配ない」
なんの根拠もなかったけど、龍ならこういうだろうと思った。
「翔・・・」
懐かしい声がした。声のほうを見ると真が立っていた。
「真・・・」
真とはちゃんと話せてなかった。二人の間に気まずい空気が流れる。さっき起こったことなんて嘘のように静かな時間が流れている。
「今日さ」
その空気を破ったのは真だった。俺は真の話の続きを待った。だが、その話の続きを真の口から聞く前にまたもや地面が大きく揺れた。
「うわぁ!」
今度は大きい。しばらく待っても揺れは収まらなかった。
「翔君!」
「翔!!」
後ろを振り向けばメイ、要さん、岬さんがこちらに向かって走ってきていた。
「み、みんなどうしてここに!?」
「外で何かあったらしくてね。それで急いでこっちに来たのよ」
岬さんは手短に話した。視線は俺ではなくこの街の外だ。
「俺たちもあっちに行ったほうがよさそうだな・・・」
要さんの言葉に2人は頷いた。
「な、なんの話してんの!?あっちって!」
愛が問う。そりゃわけがわからないだろうが俺に聞かれても俺にもわからない。
「この街は結界で覆われている。‘MR‘を壊していないお前らを王族から守るためだ!」
要さんは言う。つまり結界の外は俺が暮らしていた‘日本‘だ。まぁここも日本なのには変わりはないのだが・・・
そして‘MR‘を壊していない者を守るということは愛や真、杏を守るということ。その結界を壊されてしまったら・・・
「要さん。俺はどうしたら!?」
「落ち着け。光が現状を確認しにいっているはずだ」
その瞬間俺たちの目の前に光が現れた。光はその場に倒れこむ。体は血で覆われている。もはや虫の息だ。
「光!」
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