0人が本棚に入れています
本棚に追加
健が勢いよく要さんにつかみかかると自分が受けたところと同じ場所に蹴りを入れた。要さんはそれをまともに受け後方に吹き飛んだ。
健の怒りはそれだけでは収まらず目の前に火球をいくつも出しその火球はすべて要さんに向かって飛んだ。俺は瞬時に要さんにバリアを張った。要さんに向かっていた火球は大きな爆発音とともに消えた。
この数日でバリアを自分以外に張ることもできるようにはなった。だが、健の火球の威力でバリアを壊れないようにするのには一点に集中しなくてはいけない。つまり今、俺は無防備だ。
それをわかっているかのように健は俺に狙いを変える。
俺に向かって放たれた火球は一つ残らず俺の目の前で蒸発したかのように煙を上げながら消えた。
「翔君!大丈夫?」
後ろからメイが俺に駆け寄る。どうやら先ほどの攻撃を防いでくれたのはメイらしい。
「くそっ」
健は出し惜しみすることもなく次々に火球を出現させた。その数はゆうに100を超えるだろう。
メイはその火球をみるやいなや自分の能力を発動させた。
地面から大量の水があふれ出した。その水は火球をつぎつぎと消していく。
どうやらメイの能力は‘水‘のようだ。
ドクンッ
心臓が鳴る。この感じ・・・まさか!!
俺は嫌な気配に振り替える。そこには一番会いたくもあり一番会いたくなかった人物がいた。
「よぉ。健、随分やられてるじゃねえか」
一瞬。瞬きをするほどの時間。その瞬間に俺の傍にいたはずのメイはいなかった。
「え?」
つい声に出してしまう。
「メイっ!!」
岬さんの声がするほうをむくとぐったりと倒れたメイを抱えている。
これは・・・あの時も!!
「来るの早いよ。もう少しで俺がコテンパンにするところだったんだ」
「もう少し遅かったらお前がコテンパンにやられてただろ」
健はチッと小さく舌打ちしたが卓也の顔を見てニヤリと不気味に笑う。
「2対4か・・・物足りないけどいーか」
「バカかお前。2対3だろ」
裕也は岬さんに抱えられたメイを見て言った。それを聞いた途端に俺は卓也に向かって走り出していた。
だからと言って卓也に触れることすらなく俺の体は吹き飛ばされた。
「お前から死にたいみたいだなぁ・・・」
卓也の瞳に俺が映る。背筋に悪感がはしる。目の前で卓也が俺の首に手をかけようとする。その動作がとてもゆっくりに見えた。
バチンッ
最初のコメントを投稿しよう!