第1章

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言っている意味が分からず思わず首をかしげる。裕也はこちらに背を向け再び歩を進める。 「自分許してもっと笑ってよ」 「・・・考えておく」 ‘自分を許す‘この言葉の意味は分からなかった。 「ところでユリアさんのこと岬さんに言わなくてよかったのかな」 ユリアさんは数か月前にこっちに聞いた人だがどうやら王室のスパイらしい。二人は仲が良かったから裕也はそれを心配しているんだろう。 「ユリアさんがスパイなんて信じたくなかったな?」 「あの人、苦手」 「・・・へぇー龍にもそんな感情あったんだ」 今日はいつもに増して裕也は楽しそうにしている。よほど兄との再会を待ち望んでいたんだろう。自分には兄弟なんていないからどんなものかはわからない感情だった。 突如。嫌な感覚が体にまとわりついた。小さいころから狙われ続け否が応でも身についてしまったこの感覚。 来る!! 「裕也、止まって!!」 裕也がそのことを知っていてくれたおかげで裕也は言葉を聞くなりすぐに止まった。。その瞬間、裕也が立っている5m先の壁が爆発した。咄嗟に裕也のうでを引っ張った。 「な、なに!?」 「・・・」 一点を見つめる。この爆破を起こしたであろう人物があらわれるのをじっと待った。だが爆発の煙が収まっても人らしき影はなかった。 「なんだったんだろ」 「爆弾・・・?」 「まあ警戒しながら行くしかない、かぁ?」 「先、急ごう」 「いないなぁ?ってか広すぎ・・・みんな大丈夫かな??」 「裕也」 裕也を自分の近くに呼ぶ。 「どうしたのって・・・ここ」 そこには金で装飾を施された大きな扉があった。 「‘E‘はここにいるだろうけど目的、違うよね・・・」 「一応のぞく?」 「開けたら最後だと思うけどな」 「笑うなよ。わかってるから。っていうか双子だったら居場所とかわからないの」 「わかるわけないじゃんか」 あきれたような表情をしながらも楽しそうにしている。 「楽しそうで何より」 「どうしたのさいきなり。龍だって楽しそうにしてるよ?」 「表情に出ないって言ったの裕也だろ」 「表情変わらなくても僕ぐらいになると分かるの。楽しいでしょ?僕たち変わってるね」 楽しい、か。命かけた戦いにきてるのに楽しいなんて。前とは大違い。この手で人を殺してしまうかもしれない戦いを楽しいと思う自分が少し怖い。 「じゃあさ、この扉開ける?楽しいかもよ?」
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