第1章

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卓也が放った言葉に無言で頷く。そろそろ裕也の方も危険だ。 お互い力を込める。最後で最大の一撃を放つため。そして再び地面を蹴った。 「ハァハァハァ・・・は、ハハハ!しょせんお前らは俺になんか勝てねぇんだよ!!!」 遠くで卓也の声が聞こえる。 分かったことは二つ。卓也に負けたということと自分は死ぬということ。 ドサ 何かが倒れる音がした。薄く眼を開けると誰かが倒れているのがぼんやりと見えた。どうやら相討ちだったらしい。でもこれでようやく楽になれる。そう思った。どんどん体が楽になっていく。痛みも引いていく。死ぬ。違う、これは・・・ 「ゆう、や?」 目を開けると裕也がいた。刺されたところを押さえながら。 「死ぬ気だったでしょ・・・ダメだよ、そんなことしちゃ。龍、は。みんなの、リーダー、だから・・・」 苦しそうに顔をゆがめている。それと比例するように自分の体は軽く、楽になっていく。 「裕也、まさか・・・」 「約束、だよ。ずっと、笑って、て・・・・・」 「裕也?なあ裕也!!」 軽くなった自分の体を起こし裕也の体を起こそうとする。 「そんな、顔、しないで・・・笑って・・・」 頬を冷たいものが伝う。だけど無理に笑顔を作る。 「ほら、そのほう、が、いい・・・」 裕也の涙が目尻から頬を伝わず地面に落ちた。ただただ自らの腕の中にいる裕也を見つめた。裕也はわかってたんだ。最後の一撃、左手が使えなくなった時点で勝てる見込みは全くなかったから。僕が死ぬつもりだったって、わかってたんだ。 そしてもう一つ。なぜ僕がこうして生きているのか・・・それは数時間前に裕也から聞いた裕也の能力のためだろう。 「「僕の能力ね。誰にも言ってないんだけど龍にだけは言っておくね。‘言霊‘なんだ」」 「「‘言霊‘?」」 「「そう。僕の発する言葉に魂をのせて相手を縛る」」 「「・・・」」 「「さすが。きづいた、かな。一つ一つに魂をのせてるんだ。その魂の出どころは僕自身の魂」」 「「!?」」 「「僕は能力を使うたびに自分の寿命を縮めてる。ささいな‘言霊‘だったら少し。たとえば動くなとか、そういうのだったら削られる寿命も少し。だけど、ケガを治すのとかできるけどそのケガが全部自分に移るだけだから役には立たないね」」
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