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「その後はひたすら走って逃げたんだ。しばらく空き家に入って寝たりとかしてた。でもMRのせいですぐに見つかって。夜にも襲われるからろくに寝ることもできなかった。疲れ果てた時を狙ってかいつもより大人数が襲ってきた。体中つかまれて縛られて。頭を地面にたたきつけられてそこで意識途切れて・・・。気が付いたら目の前は赤黒い液体。鼻につくにおいで起き上がると全身が血まみれだった。僕が何したとか記憶なったけど大人たちはみんな黒くなってるしおんなじにおいしたから、僕がやったんだってわかった。その時にマスターが来たんだ。」
「そうだったのか。よく話してくれたな」
一通り話し終えるとマスターはそう言ってくれた。
「お前は力と年齢が比例していない。まだ力をコントロールすることは難しいだろう。力を使えるようになりたいかは自分で選べ。無理強いはしない。何かあったらまた私の所に来るといい」
それからしばらくは一人で部屋にこもりたまにマスターの所に行っては特になにかすることもなくという生活を送っていた。夜になると自分の部屋のベランダから屋根に上り‘空‘を見てた。
そんな生活を繰り返していたあの日のことだった。いつものように部屋を抜け出して屋根に上ると先客がいた。僕と同じくらいの子が僕と同じように‘空‘を眺めていた。
ここに子供は僕しかいないから不思議に思っていると視線に気づいたのかその子は僕のほうを見た。その子は笑顔になって僕に近づき手を取って言った。
「君が龍君?会えてよかった!ここに子供は君しかいないって聞いたから探してたんだ。初めまして、僕は裕也って言うんだ!よろしくね!」
裕也というやつは笑顔で僕に手を出した。僕はそれを無視して座り込む。裕也は少し困ったような顔をしたがすぐに僕の隣に腰かけた。
「僕はマスターさんに助けられてさぁ?!あの人すごいね、とっても強い!僕の能力も強くならないかなぁ?」
「・・・何が強くだ」
「え?」
僕は裕也の言葉になにか感じた。能力が強くていいことなんてなにもない。父親から化け物扱いされて母親にも見捨てられて。僕は裕也を無視して早々に自分の部屋に戻った。
「マスター?」
「?どうした龍」
次の日、僕はマスターの部屋を訪れていた。
「昨日裕也とか言うやつにあったんですけど」
「あぁ」
机の上で書類仕事をしていたマスターが顔を上げた。
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