第1章

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「なんだもう会ったのか。昨日‘上‘の王室に忍び込んだとき発見してな。能力は使いこなせるようだが何分力が弱くてな」 「ふーん・・・」 自分から聞いておきながら興味のないふりをした返事をする。裕也に興味がないわけではなかった。同世代の友達なんてできたことなかったから話してみたいとも思う。けどまた能力が暴走したら裕也を殺してしまうかもしれない。接し方もわからない。それに裕也は強くなりたいらしい。そこが理解できなかったし理解したくもなかった。 「少し話してみたらどうだ?」 「気が向いたら」 それだけ聞くと僕はマスターの部屋から出る。大人たちに見つからないようにそっと帝家から出た。帝家内にいると裕也に会いそうでいたくなかった。外に出たことはまだ数回しかなかったから道はあんまりわからなかったが帝家はとびぬけて大きい建物だったので道に迷っても帝家に戻ることができるから目的もなくただただ歩いた。 そして時間を見計らって帝家の自分の部屋に戻った。部屋にはご飯が用意されていた。ご飯を食べると寝て次の日を迎える。屋根に上ることはなくなった。 そんな日を繰り返していたある日。いつものようにこっそり帝家を抜け出そうとしていた時だった。 「龍」 見つかった!と思いドキドキする。恐る恐る振り向くとマスターが立っていた。 「裕也をみなかったか?」 「いや、みてませんけど、何かありました?」 後ろの方でも大人の人たちがあわただしくかけている。 「どうやら一人で‘上‘にいってしまったようなんだ。裕也君はMRを除去していないから‘上‘に行くと王室のやつらに見つかっちゃうんだよ。最悪、地下帝国のことまでばれてしまう可能性もあるんだよ」 マスターの代わりに隣にいた男が答える。 頭が真っ白になった。ここが見つかる恐怖よりも裕也が捕まってしまうことのほうが恐怖だった。話したこともあったことも一度しかなかったのにその感情の理由はわからなかった。 「龍、ともに‘上‘に行って裕也を探してくれないか?」 僕の表情を読み取ってかはわからないけどマスターは僕に提案した。隣にいた男は危険だの自分たちがいくだの言っていたがマスターはそれを無視して僕の目をじっとみている。僕は少し考えたが力強く頷いた。
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