第1章

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僕たちが入ってきた扉とは違う扉から出てきた一人の男が拳銃を構えている。どうやら隣の部屋にいたらしい。裕也は横腹を撃たれていてすでに床には血だまりができている。僕は裕也を抱き起そうとする。 「う、動くなぁぁ!!!」    パンッッッ もう一度銃声が響く。相手も恐怖で身がすくんでいるらしい。銃弾は体にあたらず壁にめりこんだ。 「動くなよ、そいつをそこにおいてお前は部屋から出ろ」 男はそう命令したが僕は動かなかった。僕の能力だったらあんな奴一人くらいなんとでもできる。だけどそんな時に限って電撃は出てこない。それに能力が発動したとしてもコントロールがきかないせいで裕也まで巻き込んでしまうだろう。 「おい聞いてるのか!早く出ろ!」 それでも出なかった。男がこちらに近づいてくる。僕と裕也の目の前で足を止める。銃口を僕の額につけた。 「死にたくなかったら早く出ろ!!」 今にも引き金を引きそうな男。それでも僕はでようとはしなかった。 「そうか、そんなに死にたいなら・・・死ね」 僕は自分が強いと思っていた。嫌になるくらい強い、と。裕也は強くなりたいと言っていた。その言葉の意味、分かりたくもなかったけど、今ならわかる。守れる力を持ちながらも守れない。こんな弱い思いをしたのは、初めてだ。引き金が引かれる。僕は覚悟を決めて目をつぶった。     パンッッッ 銃声が聞こえる。だが痛みがいつまでもやってこない。目を開けると男は倒れていて目の前にいたのはマスター。 「マス、ター・・・」 マスターはちらりとこちらを見る。男は右手を押さえうずくまっている。どうやらマスターが右手を攻撃し銃口をそらし、銃口がそれた瞬間に男が発砲らしたらしい。 「裕也を連れて外に出ていろ」 僕はマスターに向かって頷き裕也を抱えて部屋を出た。僕が部屋を出てからすぐにマスターも僕の所へ来る。すぐに裕也の状態をみて裕也を抱える。さすがに同じ体系の人を担ぐのはきつかったしなによりケガをしている人の扱いなんてわからなかった。 「行くぞ、他のやつらが来ると面倒だ」 僕はマスターの後ろを黙ってついて行った。
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