第1話

未だ蜘蛛の巣の中

部屋のベッドに横になり、携帯を確認すると一通のメールが入っていた。

送信者『水木 梨子』
本文『部活来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い』

俺はそっと彼女のアドレスを受信拒否にした。この作業にも慣れてしまっていた。

水木梨子。中学で同じ水泳部だったこともあり仲は良いのだと思う。幼なじみの瞬と同じく世話焼きなのだが、身長に関しては瞬とは真逆で小さい。

俺は宿題を済ませ、他にすることもないので寝ようとベッドに向かう。

部屋の隅に無造作に置かれた競泳用ゴーグルと一瞬目が合ったが、部屋の明かりを消した。