ホテルに連れ込む警察は普通はいません

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「まず、夏実さんなんだけどもこれについては連絡が取れていないんだ。すまない。それと、あの作業服姿のおじさんは夏実さんの父の重勝さんでね。昨日までニューヨークでやるロックバンドフェスに友人と行ってたみたいで、作業服姿で会社に行ったら、誰もいなくて、それで健太さんの両親に電話して健太さんが死んだことを今日気付いたみたいなんだ」  股男はそう言い終えると怯える子リスのように私の顔色を疑ってきた。  私は爆発しそうな苛立ちを必死に抑えながら、本来の目的を思いだして股男に問いただした 「話がしたいって言ってましたけど、何なんですか?」  股男は怯えながらもカバンから携帯を取り出した。それも健太の携帯だった。 「着信履歴を調べてみたんだが、最後は君になっていてね。それで、どうしても聞いておきたかったんだ」  きっと、アリバイ確認と電話の内容が知りたいと思った。相手は股男だとしても一応刑事だ。嘘は通用しないと思い洗いざらい話した。  股男は一通り話を聞き終えると先ほどとは態度を一変して、鋭い眼差しでこちらを見てきた。 「新居に行こう。君も一緒にだ。いいね」  刑事の顔になった股男は、私の右手を掴むと車に押入れ、健太の新居に向かった。
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