第1章

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「ねぇ、美紀?どうしたのよ、浮かない顔して」 今は昼休み真っただ中。 昼ごはんを食べ終わった男子が外へ遊びに行ったり、教室でゲームをしたりしてはしゃいでいる。 「朝からこんなだけど、何かあったわけ?」 そんな騒音を背に、私に声をかけてくるのは、親友の一之瀬琴美(いちのせ ことみ)。 観察力に長けているなぁ…。なんて、思わず感心する。 「琴美ってさ、エスパーなの?」 「そんな明らかにウダウダしてたらね、誰でもわかるんだから!…ほら、とっとと白状しなさい!」 机に突っ伏していた私は顔を上げて、向かいに座る琴美を見上げた。 琴美はまるで、しょうもないギャグを言い終えた後の小学生みたいに、妙に満足顔を浮かべている。 「ほら、早く言いなさい」 「…わかったわかった…。教えるから」 肩をゆすられて、私は腹をくくった。 琴美がニヤッと笑う。
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