532人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、美紀?どうしたのよ、浮かない顔して」
今は昼休み真っただ中。
昼ごはんを食べ終わった男子が外へ遊びに行ったり、教室でゲームをしたりしてはしゃいでいる。
「朝からこんなだけど、何かあったわけ?」
そんな騒音を背に、私に声をかけてくるのは、親友の一之瀬琴美(いちのせ ことみ)。
観察力に長けているなぁ…。なんて、思わず感心する。
「琴美ってさ、エスパーなの?」
「そんな明らかにウダウダしてたらね、誰でもわかるんだから!…ほら、とっとと白状しなさい!」
机に突っ伏していた私は顔を上げて、向かいに座る琴美を見上げた。
琴美はまるで、しょうもないギャグを言い終えた後の小学生みたいに、妙に満足顔を浮かべている。
「ほら、早く言いなさい」
「…わかったわかった…。教えるから」
肩をゆすられて、私は腹をくくった。
琴美がニヤッと笑う。
最初のコメントを投稿しよう!