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「私が通ってる塾の先生」
琴美が、私の耳元で言った。
よく、琴美の口から先生がイケメンだとか、優しいとかいう話は聞いていた。でも、まさかキスをしたなんて思わなくて私は驚いた。
「そうなの?」
「うん…なんか、ヤケクソで」
ヤケクソ…?
私は首を捻る。
「あっ、なんでもない!」
琴美が顔の前で慌てて手を振る。
何がヤケクソだったんだろう。気になる。
「ねぇ―――」
ヤケクソってどういう意味――そう聞こうとしたそのとき、チャイムが鳴った。
琴美が勝ち誇ったような顔で、私の前の席から、後ろの席に移動する。
私は後ろを振り返った。
「さっきの話、本当?」
「さっき、って?」
僅かに、琴美の頬が赤く染まる。
「奢ってくれるって話」
「…ホント」
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