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「あれ、違いました?嫌がってる女に手を出すくらいに溜まってんのかなって思ったんですけど」
私からしてみたら、正義のヒーローが言う。
改めて顔を見ると、その人はイケメンだった。
金色に近い茶髪、筋の通った鼻。
そして、何かを企んでるみたいに口角の上がった口元。
顔の輪郭は細くて、すらっとした顎のラインと華奢な体格。
まるで、少女漫画から出てきたみたいなイケメンだ。
でも、こんな華奢な人に大柄な伊藤先輩を倒せるなんて思えない。
「ンなわけないだろうが!!もういいよっ!!」
伊藤先輩は怒りで顔を真っ赤にして回れ右をすると、校舎の方へ大股で歩き去って行った。
どうやら、殴り合いの喧嘩にはならなかったみたいだ。
よかった…助かった…。 私は、胸を撫で下ろしながらため息を漏らす。
「…オマエもオマエだ」
正義のヒーローが振り向きながら言った。私は彼に目を向ける。
「オマエ、か弱すぎだっつーの。少しは体鍛えろ。じゃねぇと…」
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