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ヒーローが私の顔を覗き込んできた。
睫毛の長い目に見られて、頭の中が真っ白になる。
「喋れないのか?」
私は慌てて首を横に振った。
「じゃあ、名前くらい、言えるよな?」
「美K……んっ!」
名前を言い終えるか否かのタイミングで、唇を塞がれた。
目を開けると、ヒーローの整った顔が、目の前にある。
ヒーローの目に、私の顔が映っていた。
私たち、今…キスしてるんだ!
ヒーローの首筋から、甘い香りが漂ってくる。
良い香り…―― じゃなくて!
私、今キスしてるんだよ。
たった今、初キス奪われてるんだよ?
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