序章

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…しかも、朝っぱらから! 遅刻しないようにって、1時間も早く家を出たのが間違いだったかな。 校舎の方から、登校してくる生徒の声が聞こえてくる。 昇降口からは死角で見えない場所にいる私は、誰にも見つけてもらえないし、誰の姿も見つけられない。 「…美っちゃん、抵抗しないわけ?」 ヒーローが今にも笑い出しそうな声色で囁く。 美っちゃんって、誰ですか。 …私、かな? 私の名前は、美紀だけど。 ヒーローがキスをやめた。 スッと軽い動作で離れると、今度は私の髪に手を伸ばしてくる。 「抵抗できないか弱い乙女ってさぁ、すぐにホテルに引きずり込まれて汚されちゃうよ?」 そう言って、今度は私の腕を引っ張って、抱きしめてきた。 甘い香りに包まれて、何が何だか理解できない。
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