序章

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というか、もう理解したいだなんて思わなかった。 な、何なのこの展開は! 理解はしたくないけど、意味がわからなすぎて頭の中がパンクしそうだ。 「まぁ、俺はそういうことはしないから、安心しな」 キスされて髪触られて、おまけに抱きしめられたら、安心なんてしたくてもできないよ。 「とりあえず、あと5分でホームルームだよ、美っちゃん」 「へ?」 ヒーローの腕から解放された。 腕時計を見ると、針が8時40分を示している。 「ホントだ…」 「またね、美っちゃん。…まぁ、また会うことになるけどね」 その声に、私は顔を上げる。 呟いたヒーローを探すけど、もう彼の姿はなかった。 どこに消えたんだろう? 私は辺りを見回した。 だけど、まるで透明人間にでもなってしまったみたいに、ヒーローの姿はどこにもない。 そういえばさっきの制服…あれ、Y高校のだったような…気のせいかな? っていうか、「また会うことになる」ってどういうことなんだろう。 私は、よく回らない頭で必死にさっきの出来事を思い出しながら教室に向かった。
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