貴族の憂鬱~報告~

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しかし、唐突だが、よく見れば庭に置かれている全てが調和している。 例えば、この[喜びの天使と哀しみの壺]。 笑顔の輝く天使が、いつまで満ちない哀しい壺を抱えているという意味の題だ。 この表情の豊かさが僕はとても好みだ。 他にも、[太陽と月]。 太陽と月を象徴した作品で、なかなかに美しい。 この太陽の光が、とても輝いている。 輝いていると言えば、[輝きから生まれる影]。 これは、輝きを表すギザギザとした白い彫刻と、影を表すのっぺりとした黒い彫刻だ。 少し切なくなるが、そこがまた良い。 そして、庭には一面を覆うカランコエ。 カランコエの花言葉は[小さな思い出]だそうだ。 本当に、惚れ惚れする。
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