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いつの間にか意識は途絶えていたようだった。
少年は、瞼の裏に淡い日の光を感じて目を覚ました。
「ん…?」
体を起こすと、少年は見知らぬ部屋にいた。
カーテンの隙間から、心地よい日差しが入ってくる。
「僕は一体…。」
少年があれこれ考えていると、ドアの向こうから人の声が聞こえてきた。
ガチャとノブが回されると長身の男が二人、話しながら部屋に入ってきた。
「目が覚めたのですね。」
二人のうちの一人が、少年に歩み寄る。
眼鏡をかけた優しそうなその男は、少年ににこりと微笑んだ。
「あの、ここは…。」
少年は小さく弱々しい声で男に尋ねた。
「詳しいことは後程…。まずは、食事をどうぞ。」
男がそう言うと、ドアの側に立っていたもう一人の男が料理を持って向かってきた。
「まぁ、食べろ。あまり食べてなかったようだしなぁ?」
愛嬌のある笑顔で微笑むと、もう一人の男は、持っていた料理を少年の膝の上に乗せた。
「あ、ありがとうございます。いただきます…。」
「ウチの飯は美味いからな!たくさん食うといい。」
少年は、膝の上に置かれたパンとスープを少しずつ食べ始めた。
「美味しい…。」
かれこれ何日もまともな食事をとっていなかった少年の体に、温かなスープが染み渡る。
「だろ?」
「食べ終わった頃にまた来ますね。」
「あ…、はい。」
眼鏡をかけた男がそう言うと、二人揃って部屋を出ていった。
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