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眼鏡の男に導かれ、少年は部屋を出た。
壁に取り付けられた小さなランプが窓のない薄暗い廊下をぼんやり照らしている。
「ここから先の部屋で行われることは、一切口外しないでください。」
男はある部屋のドアの前で立ち止まり、少年に慎重な面持ちで言った。
「はい…。」
男の慎重な顔につられるように、少年も顔を強張らせる。
「もし、秘密を少しでも他人に話してしまったのなら…。」
男の声がふと低くなる。
その声に、少年は冷や汗を滲ませた。
「後悔だけでは済まないでしょう。」
男は冷たさを秘めた声でぽつりと呟くように言った。
具体的にどうなってしまうかを言われずとも、命に関わることなのだと少年は悟った。
「さて、覚悟はよろしいですか?引き返すのなら、今のうちですよ?」
男の言葉に、少年は足がすくむ。
しかし、あの時、目の前に広がった惨たらしい光景が脳裏を過ると、少年の心の中に、怒りや憎しみが怒濤のように押し寄せてきた。
「貴方が噂を聞いているのなら、貴方が憎む人達がどうなるかはご存じでしょう?」
少年は、町で聞いた噂を思い出した。
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