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「どうしますか?」
眼鏡の男は、暫く黙りこんでいた少年に、声をかける。
「お願いします…。」
ごくんと唾を一飲みして少年は前を向いた。
男はにこりと微笑むとドアノブに手をかけた。
ギィッと軋んだ音を立てながらゆっくりとドアが開いていく。
「さあ、お入りください。」
男が少年を部屋へと誘導する。
それに従って少年は一歩部屋へと踏み出した。
薄暗い室内には、アンティークな家具や小物が並んでおり、思いの外落ち着いた雰囲気だった。
「さて…。」
男は部屋の端にある大きな机に着いた。
「お名前を伺っていませんでしたね。」
静かな部屋に、男の優しげな声が響く。
「アルテ…といいます。」
少年が答えると、男はスッと立ち上がり右手を頭上に掲げた。
「…!?」
右手が掲げられたのと同時に三人の仮面をつけた男がどこからともなく現れた。
男の隣には、トランプのダイヤのマークが描かれた黄色い仮面をつけた男。
少年から向かって右側の部屋の隅には、ハートのマークが描かれた赤色の仮面をつけた男。
左側の隅には、スペードのマークが描かれた青色の仮面をつけた男。
そして、少年の正面に立っていた男は、眼鏡を外し、クラブのマークが描かれた緑色の仮面をつけた。
仮面をつけ終えた男は、うっすらと微笑みながら口を開いた。
「ようこそ…、殺し屋カーデッド・ファミリーへ…。」
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