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静かに時間は過ぎていく。
アルテの心臓の動悸は止まずにいた。
「…では敵討ちということですね?」
クラブの仮面をつけた男はアルテの話を入念にメモをしながら聞いていた。
「はい…。」
「依頼の実行において、何か要望はありますか?」
「よ、要望?やり方にですか?」
「はい。」
男の一つ一つの質問がアルテの心臓の律動を鈍らせる。
「えと…、奴らが母さんにしたように…。」
アルテの脳裏にあの惨たらしい光景が蘇る。
「…っ。」
がくがくと震え始める体。
頭の奥で鮮明に甦るおぞましい惨劇。
アルテはガクンとその場に膝を着いた。
「ほぉ…。」
膝まずいたアルテを凝視しながらクラブの仮面の男は目を光らせた。
「……ックク。」
突如アルテは肩を震わせ、笑い始めた。
と、途端に立ち上がり、クラブの仮面の男の前にずかずかと歩み寄った。
「俺に殺らせろ…。」
先程のアルテとはまるで別人のように、アルテは獣が唸るような声で言った。
「貴方は…、 バイラー ですか?」
クラブの仮面の男は今にも襲いかかってきそうなアルテに静かに問いかけた。
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