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言葉にする事が辛くて。
私は無言のままコクリと頷いた。
“Yes”を示すこの反応。
それを見た己一はどんな気持ちになったのだろうか。
毅一に裏切られ傷付いた私。
だけど今まで私がしてきた事は、裏切られ恨みの念を抱いていた彼と全く同じだ。
千晶さんの事を忘れられないまま私と付き合った毅一と同じく、私も慧の事を踏ん切れないまま己一と付き合ってしまった。
人は弱い生き物で、一時の感情に縋り自分に都合のいい選択肢を無意識に選んでしまう。
だから私も毅一も、不毛な恋の果てに出会った新たな恋愛対象に恋をしたと思った。
そしてその気持ちは偽りではないと、ずっと自己暗示を掛けながらその関係を続けてきたのだろう。
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