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己一は、私の「辛かった」という言葉を聞き顔を顰めた。 きっと彼自身、思い当たるところがあるのだろう。 私の傍にいたい。 そして自分の傍にいて欲しいが故に、彼は私を束縛した。 自信がないから堂々と振る舞えない。 そんな彼の気持ちを痛い程理解できるはずなのに・・・。 「ごめん・・・。もう無理。」 私の口から零れた別れの台詞。 その言葉を聞いた瞬間、厚く腫れぼったい己一の目が大きく見開いた。 「そんな事言わないでよ・・・。 俺、笑美のいう事は何でも聞くから・・・。」 「・・・。」 「頼むから、傍にいてくれ・・・。」
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