第1話

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「そんなことよりいい加減本題に戻ろう」 「本題?」 「いくら休日だからって昼間まで寝てるなよって話だ」 「あー、そんな話もあったね」 「まだその話をして一時間も経っていないのにはるか昔の話題のような反応をするな」 こいつの記憶力は大丈夫なのかとたまに心配になる。 果たして(本人が言うには)昨夜したと言う勉強とやらは頭に残っているのだろうか。 「大体、今日が休みなんだから勉強なら何も夜やらずに今日の昼にやれば良いだろう」 「なんだか休みの日に勉強するのは負けた気がする」 「何と勝負してるんだよ…そもそも、その勉強のせいで休日の午前中眠って潰してしまうなら同じことだろ」 「気持ちが違うんだよ、気持ちが~」 「気持ちって…っていうか、夜に眠い中で勉強したって頭に入らないだろう?それじゃあ本末転倒だろ」 「私別に転んでないよ?」 この妹… 本末転倒の転倒の部分しか理解していない。 「そうでなくて…本末転倒っていうのはだな、本来の目的を見失っているとかそう言う意味だ」 「目的を探すのが目的な私には目的を見失うことなんてない!!」 「やめろ、格好良さげな事を言うな!!油断すると憧れてしまう!!」 ちゃんと考えるとただ単に何も考えなしで生きていると言っているだけだ。 「勉強っていうのは、頭を良くしたり何かを覚えることを目的にするものだろ?だけど、お前の場合は勉強するという行為そのものが目的になってるんだよ」 「うん、分からない!!」 うん、吹き飛ばしたい。
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