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「話がまとまったところで、息子及び娘よぉ」
全くまとまった気がしないと言ってやりたいが、僕はなんとかその言葉を飲み込み父の方を見る。
「明日からしばらくお前らの愛すべきお父さんは出掛けるわ」
「は?」
「出掛けるわ」
「いや、聞こえなかったとかじゃなくて…なんで突然?」
「別れはいつだって突然だぜ?」
「何フラグ立ててんのさ…じゃなくて、なんで突然今頃言うのさ」
「さっきまで息子が娘にお説教もどきしてたから」
「もどき言うな!!っていうかだったらそれを始める前に言ってくれれば…」
「始める前にゃ娘居なかったろ。こういうのぁちゃんと本人に言わなきゃダメなんだぜ息子。じゃねぇと、大事な連絡をメールで済ますような奴になっちまうぜ?」
「う…」
さっきまでテレビ見て娘の自堕落さを咎めもしなかった父に言い返せないとは。
なんか悔しい。
「パパやん何処行くの?」
今までただ父の話を聞いていただけの葦華が尋ねた。
「そいつぁお前…」
そう言い、父はゆっくりとこちらを向く。
「秘密だぜ」
ニヤリと言う父。
ウザい。
「え~、なんでよ~」
「あーうるせぇな、オトナにゃあヒミツってもんが有るんだよ」
「なんでいちいち怪しい言い方するのさ、父さん…」
「浮気~?浮気旅行~?」
「バッカお前…俺と母さんはラブラブのアツアツだぜ?地球温暖化の原因は実は俺達なのは学者達の間じゃ常識だぜ?」
「その話が本当ならその事実を発表しない学者に感謝しないといけないね、父さん達は」
もし発表されたら地球温暖化防止の為にすぐさま国、いや、世界が動いて二人を引き離すだろう。
うわ、なんだこのドラマチックな響き。
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