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話は少々さかのぼる。
『近年増加する凶悪犯罪に対し、警察だけでは対処しきれないと判断した政府は新たな法を施行する事を決定しました』
ここまで聞いて、高校一年生の僕は、ああ、また社会での時事問題が増えるなぁなどと、ある種呑気な事を考えていた。
『それでは、新たな法案の発表を中継でご覧下さい』
ニュースキャスターがそう言うと、画面に大量のマイクの前に立つ少し頭部が過疎化し始めた男性(確か防衛大臣だかなんだかだった気もする。名前まではわからない)が映し出される。
そして、なにやら長々と話し(しかも「えー」だの「あー」だのをしょっちゅう挟むから余計に長い)、漸く本題にたどり着いた。
『えー、で、ありますからして、この度我々は、あーっと、新しい法案として「市民英雄法」を施行する、うー、次第であります』
大量のフラッシュが焚かれた。
新たに「うー」が加わってなお聞き辛く為ったが、それよりも。
「市民英雄法」とはなんだ。
今後、学校の勉強に出てくる可能性があるのならそれを聞いておきたいところだ。
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