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葦華が持ってきた教科書で確認してみたところ、そこには確かに鎌倉幕府は1185年と記されていた。
文明の利器に頼り、インターネットで調べてみたところ最近になって改正された、とのこと。
そんな簡単に改正しないで欲しい。
良い国で覚えてきた我々、仮に旧人類は改正を知らされずに取り残され、ずっと誤った歴史を信じたまま生きていかなくてはならないんだぞ。
そして、改正を知っている、と言うか改正後しか知らない世代、仮に新人類から見れば旧人類は歴史を間違って覚えている馬鹿な奴等だといういわれのない汚名を着せられてしまう。
いや、ここは百歩譲ってそれは良しとしよう。
問題は。
旧人類、新人類共に相手の存在を知らない場合だ。
この場合、どちらも学校で習った事で、正しい事を、正しいと信じていることを相手に否定される事になる。
そうなれば、お互いがお互いを歴史を間違って覚えている馬鹿な奴等だと思い込むと言う事態に入り込む。
そんな事態をやすやすと招くなんて…
「どうしたの兄っち?おこなの?自分が間違ってた事を指摘されておこなの?」
葦華がニヤニヤ覗き込んできた。
これだ。
こういう、「ほら、私は間違ってなかっただろう?君が間違っていたんだよ、解ったかい?ああ、別に謝らなくていいよ、私は心が広いからねぇ」みたいな勘違いをする奴が出てくる。
そして、それを火種に無意味な争いが起こるのだ。
全く、危ないところだった。
他の何処かでこんなことが起これば、間違いなく争いが起きていただろう。
しかし、ここにいるのは心が広い、そうどこまでも広がる大海原のように広い僕だ。
争いなど起きはしない。
「おこ?ねぇおこなの?」
こんな風にウザったい妹にも軽く耐えて見せ、なんなら自分が間違っていたと引いてやることさえできる程の心を僕は持ち合わせている。
「うりうり、おこなんでしょ兄っち?いやさ、おこっち?」
頬に指でグリグリされたり謎のあだ名を付けられたりしても、全く揺らぐ事などない。
「私は間違ってなかっただろう?君が間違っていたんだよ、解ったかい?ああ、別に謝らなくていいよ、私は心が広いからねぇ」
「カム着火インフェルノォォォォオ!!」
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