fall in ……

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そう言い切った瀬名さんをかっこいいと思った。 「私……多分、連絡つかないこと 多いと思います」 「うん」 「レスポンスも遅いし」 「うん」 「どうしても仕事を優先しちゃうし」 「うん」 「……面倒になると思います」 「戸波さん」 「……」 「君には誠実でいるよ」 「……」 「戸波さん」 「……はい」 「俺の事好きでしょ?」 「…………はい」 「……え」 まじで、と呟き口元を覆う。 「……ふ」 私はなんだかおかしくなって肩を震わせて小さく笑った。 瀬名さんは穏やかな顔で私を見ている。 「帰ろうか」 と、差し出した手をはっとしたように引っ込めた。 その指先を追うように私が掴むと 瀬名さんの顔に緩むような強張るような変な風に力が入るのが分かった。 「手、冷たい」 「……緊張してるからね」 そう言って瀬名さんは私の手を柔らかく握った。 その体温が温かくてなんだか嬉しくて 止まったはずの涙が顔を出した。 fall in ……END
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