そして一年が経つ

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ガタゴトと揺られつつ、のんびりと進んでいく。 何度か人間の町に近づいたりもしたが、決して中に入ったりせず隠れるようにしていた。白弥さんたちは何も言わなかったが、勇者の出現と共に「魔族=敵」という考え方が爆発的に増えたため、こうしてコソコソと移動している。 幸いにして僕たちの容姿に関していえば人間とほとんど差はないけど、魔法の使える人には一発でばれてしまう。 小さい町や村にホイホイいるわけではないけど念のためというやつだ。 「暗くなってきたから今日はここまでにしようか。」 いくつか山を越え、細い川の近くまで来たところで今日の旅は終わりを告げた。 川の近くに簡易的なキャンプを作り、地面に寝転がる。空にはたくさんの星が瞬いている。…大悟も同じ空をを見上げているのだろうか。
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