そして一年が経つ

9/24
前へ
/133ページ
次へ
翌日。ついに海峡にたどり着くことができ、僕たちは海峡を渡る人たちの列に並んでいた。 魔法陣のある駅を中心にして海岸沿いに細長く形成された街は、現在大いに賑わっていた。 北への移住を希望する人たち(ほとんどが魔族)が押し寄せ、軽いお祭り騒ぎだ。 そんな中、通行許可証の申請から帰ってきた白弥さんは頭を抱えていた。 「参ったな。」 「どうかしたんですか?」 お茶を差し出しつつ聞いてみる。先ほど市場で緑茶のような茶葉を手に入れたので早速淹れてみたのだが、これがなかなかおいしかった。 ちなみに僕は今ホテルの一室に閉じ込められている。出かけた先でトラブルを起こして、絶賛謹慎しているのはなぜかは察してほしい。 「一週間待ちって言われちゃたよ。」
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

442人が本棚に入れています
本棚に追加