そして一年が経つ

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「そんなことっ…!」 無い、とは言えなかった。なぜ魔族が北へ逃げるのかを考えたならば、その危険は常にあるのだ。もちろん北への玄関口であるここも例外ではない。 いや、むしろ狙われ易いのかもしれない。猫娘が言ったように魔族が集合していて、地理的にも背後に海峡がある限り逃げることもままならない。 僕だけなら飛んで渡ことも可能だが、白弥さん達をはじめ飛行能力を持つ魔族は意外と少ないものだ。 「…でも力は圧倒的に僕たちが上だよ。いくら数差があっても、この町が落とされるなんてありえないよ。」 魔族のアドバンテージは数が少ない代わり、圧倒的な個人ステータスを持つ。たとえ戦闘員でなくても魔法を使える程度の人間に後れを取ることはないだろう。 たとえ一国軍が攻めてきても、追い返すだけなら造作もない。
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