そして一年が経つ

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猫娘は話しながらも椅子の背もたれから背もたれへ、音もなく移動していく姿は見ているこっちがハラハラする。 「…仮にそうだとしても、なんでそれを僕に?ただの迷惑なサキュバスだよ?」 自虐風に言ってみるものの、悲しい。いや自虐だから悲しくなるのは当然か。大悟と別れてから自虐が癖になっているのかな…。 事あるごとに自分を傷つけて、悲哀に浸って、ナーバスになってるよ。 そんな僕の心境に気づいていないのか、気づいていながらも気づいていていない振りをしているのか。どちらにしても、変に気を回してもらうよりありがたいのだが彼女の話は続く。 「にゃはは、謙遜を。その魔力、その瞳の色、貴女がかのヴァンパイアだって事は分かってるんだにゃ。外の騒動も吸血鬼だって事を隠すため意図的に起こしたんでしょ?」
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