燃えろ萌えろ天高く

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空が―――――― 街が――――――――――――――― 人が―――――――――――――――――――――――――――――――― 赤く燃えている。 闇さえも真っ赤に塗りつぶし、鋼鉄すら赤く溶かしていく。 そんな地獄のような現実の中に一人だけ、涼しい顔で街の中を歩いていく男がいた。 僕はその後姿を眺めることしかできなかった。 宿屋の屋根の下からじっと身をひそめ、見つからないように、興味をひかれないように這いつくばることしかできなかった。 ほんの数メートル先に会いたかった人がいるのに。 その背中に抱き付きたい。 その声と話を交わしたい。 その手と…手をつなぎたい。 でも僕の後ろにはたくさんの仲間がいる。 彼らでは大悟に敵わないだろう。あの白弥さんでさえ返り討ちに会い、虫の息になって僕の後ろにいるのだ。
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