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そして人間の軍めがけて急降下する。
風を切り急降下していき、大悟まであと半分の距離にきたところで向こうも僕に気づいたようだった。
大悟はゆっくりと顔を上げ、そして僕は彼と目を合わせた。
その瞬間、僕は反射的に軌道を鋭角に変えていた。無理な挙動をしたせいで体が引き裂かれるような痛みを感じたが、その判断が正しかったことを身をもって思い知った。
僕の降下軌道に沿うように巨大な光線が空に穿たれる。
その光はまさしく神が放ったかのように天を割り、そして見るものすべてに恐怖を与えるだろう。
僕も普段通りであれば、その神々しさに見惚れていただろう。しかし、僕にはあの、表土よりも冷たく、深海よりも深い、かつての明るさなど感じさせないような大悟の瞳に恐怖していた。
違う。僕が大悟を怖がるなんてそんなのは絶対にない。いや、あってはならないのだ。
けれども体は刻みに震え、人間軍すら直視することができないでいた。
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