燃えろ萌えろ天高く

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僕は穴の底から空を見上げていた。 度重なる光撃によって、体はぼろぼろになっていた。具体的に言うと、両手両足が消失していた。いわゆるダルマ状態だ。 空から太陽の光が降り注ぐ限り再生は難しい。あと数撃でこの体は塵となり消えるんだな、となんとなく思ってしまった。 死が目の前にあると案外冷静になるものだ。それは経験から分かっていたことだが、先ほどの猛烈な怒りさえも散らせるほどとは。 いや、怒りがなくなったのは別に死ぬからではなく、僕自身が納得のいく解を得られたから。なんとなく、満足してしまったから。 あれと戦って、言葉を交わした中で大悟の意志は分かったから。僕はそれを受け入れるだけだ。
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