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「いやいや、あれほどの力を彼以外の人間が持てるとは思えない。アレは間違いなく勇者だ。」
そんなことは分かってる。僕がさっきまで戦っていたのは間違いなく勇者の力を持ち、大悟の肉体を形成していた。
「けれど、中身は大悟じゃなく他の人だった。ひどく魔族に対してうらみがある様で怖かった。」
まるで二重人格みたいだった。もしくは幽霊とかに乗っ取られたとか。他はすべて大悟なのに中身は全くの別物で、大悟の意志はそこにはないようなのだ。
自分でもおかしなことを言っている自覚はあるけど、白弥さんはそれだけで何かわかったみたいだ。
「…うん、なるほどね。勇者君がどんな境遇なのかなんとなくだけど把握したよ。でもその話は後回しにしよう。今はその勇者君から逃げることに専念しようじゃないか。」
白弥さんがそう言い終わるか否や、僕たちのすぐ後ろに光柱が突き刺さった。
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