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背後の大地が焼失したのを見て、わずかに足が速くなる。穴を掘っている男たちも死に物狂いで手と足を動かして、掘るスピードを上げた。
町までの正確な距離はわからないけど、そう遠くはないはずだ。町に入れば勇者も追ってはこないはず。
「あと少しだ、急げよ!」
と白弥さんが喝を入れた。が、そのときピリッと背後に危険な気配を感じた。
白弥さんも同じようにかんじたようで、走っていた足を止め、うしろをふりむいた。
光柱によって穿たれた穴から、剣を携えた勇者がゆっくりと向かってきた。
全身から殺気を振りまきながらも、目元には涙がたまっていた。
「……早、く…逃げろ。俺が…、…じゃ…なくなる……まえ、に。」
口だけが別人のように動き、大悟が現れる。だが、その体は言葉に反して剣を構えていた。
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