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その刃は間違いなく僕たちの命を断ち切るだろう。
それだけの力を大悟の肉体は持っているのだ。そしてその体を誰かが、悪意と殺意を持って操っている。
…戦う意思を失った僕が勝てるはずもない。しかし、だからと言って僕たちには逃げ場がないのだ。
掘り進めなければ道はつくれないが、恐怖心が掘り手の腕を止めていた。
ここでのベターは僕が楯となって、白弥さんと後ろの5人が逃げるための時間稼ぎをすることだ。
彼らは僕のわがままに突き合わせてしまっているのだから、僕がたとえ死んだとしても守らないといけない。
そう思い、前に出ようとしたが白弥さんの手が僕を引っ張った。
「君は生きなくてはならないと言ったはずだよ。ここは僕が食い止めるから、早く逃げろ。」
乱暴な手つきで僕を大男の一人に押し付ける。大男も白弥さんの意志をくみとったのか、僕を引きずって大悟から離れていく。
他の大男たちも異論はないのか、一斉に穴掘りを再開した。けれど、けれども僕は納得できてないよ!
「これは僕が引き起こしたことだから、責任は僕にあるんだ。白弥さんこそ僕なんか見捨てて逃げてよっ!」
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