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「大丈夫だ、必ず戻る!」
叫んだ直後、白弥さんが天井に魔法を打ち込んだ。ガラガラと崩れて塞がっていく通路の先に白弥さんの背中だけが鮮明に映った。
そして完全に塞がり、二人の姿は見えなくなった。
「それは死亡フラグだよ…。」
その呟きは伝えたい人には届かず、壁に反射されるだけだった。
「白弥さんのことは絶対に忘れないからねっ。」
ごしごしと涙を拭き、壁に背を向けて穴の中を走る。白弥さんの意志を無駄にしないためにも、はやく町にいかないと。※大男さんに背負われています。
大男さんたちから歓声が上がり、穴の先に光が見えてきた。出口だ!動かしている足にも自然と力がこもり、一段と速く走る。
…しかし、夕日が出る時間でもないのになぜかその光は赤く染まっていた。
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