はじめまして、村人さん

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「もう限界だ…。」 じりじりと照りつける太陽に、僕はついに負けてしまった。 道の脇の木陰に身を滑り込ませて休むこと数十回、ヴァンパイアである僕の体はお天道様の光で(比喩でも何でもなく)焼かれていた。 こんな状態の僕を見かねたのか、大悟が僕を背中に乗っけた。 「しょうがない、俺が背負っていく。」 「うん、ありがと。だけどなるべく急いで欲しいかな。」 軽々と背負っているのは、この世界の力のおかげだけではないのだろう。 「(背中、広いなぁ。)」 「分かってるよ。」 揺れる背中の上で歩調が少し早くなったのを感じ、少しうれしい。 日の光も少し和らいだ気がする。
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