こんにちは、同族の皆さん

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どのくらい歩いたんだろう。 大悟からできるだけ離れたくて、めちゃくちゃに足を動かしたからよく覚えていない。 途中から空を飛んだ気もする。 気づいたら見知らぬ街の長椅子に座っていた。 いや、知ってる町なんてないんだけれどもね。 周りがうるさい。 今日は祭りなのだろうか、夜だというのに明かりが煌々と灯り、どんちゃん騒いでいる。 皆が幸せそうで楽しそうな顔をしている。 そういえば、大悟と行った夏祭りによく似ている。 あの時はとても楽しかった。 ただ手を引かれるばかりだったが、あの空気が、あの音が、そして隣に人がいるのが何よりも嬉しかった。 今響いているのも楽しげな音楽で、来てる人は楽しく笑っているのだろう。 でも僕にとっては耳障りな音の集まりでしかない。 ああ、隣にいつもいた人がいなくなるぐらいでこんなにも変わるのか。
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