こんにちは、同族の皆さん

12/24
前へ
/133ページ
次へ
ご飯の準備をするから、と二人が部屋から出ていくと街での記憶が鮮明に蘇ってきた。 人を刺し貫いた感触が手に戻ってくる。 全身が血で濡れているような錯覚を覚え、自分を強く抱きしめる。 「…大悟ぉ。」 口から自然と彼の名が出てくる。 けれども、彼は現れてくれない。 「大悟ぉ、大悟ぉ。怖いよぉ、苦しいよぉ。うぅぅぅ…。」 いくら呼んでも、答える声はない。 目から悲しい水が流れていく。 ベットの隅で丸くなりながら僕は記憶と一緒に涙を流した。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

442人が本棚に入れています
本棚に追加