そして一年が経つ

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夜々さんの積んでいた荷物の大きさについては、言わなくても分かって欲しい。というか、持ち出す荷物の中で夜々さんの私物が一番多いのはおかしくないだろうか。 それを夜々さんに聞いてみると、「女には色々あるのよぉ。」とのこと。 …僕には分からないなぁ。 しかし、「貴女にも必要なことだから覚えておきなさぁい。」は余分だと思う。 僕は男だし。…もう全くこの体での生活に支障がないのはゆゆしき事態だとはおもうけど。 「うん、それじゃあ出発しようか。いつ襲撃されてもいいように武器だけは携帯しておくんだよ。」 「はい!」 そう言って取り出したのは古風な豪奢な装いの拳銃である。フリントロック式の旧式銃で、過去の異世界人が持ち込んだものを白弥さんがわざわざ僕のために手に入れてくれたものだ。
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